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 2017年5月23日,ロシア連邦憲法裁判所は,行政違反連邦法31条7項及び同法31条9項の合憲性の見直しに係る判決を言い渡した。

 2017年5月23日,ロシア連邦憲法裁判所は,公開の法廷において,行政法規違反に関する法律が,無国籍者について,行政による国外追放を見越した上,合理的理由のない特別拘置施設における身柄拘束の合理性について異議を唱えることを禁じた点は,違憲であると判断した。

 行政違反連邦法31条7項及び同法31条9項の合憲性見直しに関する本件は,2017年4月18日,審理された。本件は,無国籍者であるX氏の申立てにより,審理が開始された。

 論点の経緯

 サンクトペテルブルクの住民であり,ジョージア人であるX氏は,複数の犯罪について,複数回にわたり有罪を宣告された。2014年,ロシア当局は,彼がロシアに滞在し続けることについて,望ましくなく,国外追放するとの決定を発した。これにより,X氏は,外国市民のための,特別拘置施設に収監された。しかしながら,ジョージアは,X氏が無国籍者となり,ジョージア市民権を有しなくなって以降,X氏を受け入れることを拒否した。こうして,2015年夏,X氏は,特別施設から釈放された。

 2015年12月,申立人は,連邦行政違反法18条8項パート3について,有責と判断された。申立人は,行政上の反則金と,ロシア領域からの退去を宣告された。X氏は,サンクトペテルブルク及びレニングラード州連邦移民局の外国市民向け拘置施設に収容されたのち,ジョージアを含め,他のあらゆる国が彼を受け入れないため,現在に至るまで収容され続けていた。申立人自身又はロシア連邦の関係省庁による,申立人の追放決定を無効にする試み及び申立人を特別拘置施設から解放しようとする試みは全て裁判所により退けられた。それらの決定においては,異議を申し立てられた法規は,あらゆる行政罰の執行について,2年という期限を設定しているところ,行政による退去の見直しについての定め及び具体的な人物について事実上退去させる可能性が欠ける場合の執行停止にかかる定めを設けていなかった。

 申立ての趣旨

 申立人によれば,異議申立対象の条項は,行政による退去決定の執行にかかる2年間の期限満了前に,裁判所に対して,実体的に,ある人の特別拘置施設における身柄拘束が合法的であるか否か,彼を現実的に退去させられる可能性があるのか,またそうした可能性がない場合彼を釈放すべきなのか,について,決定を下すこととしていない。これを基礎として,申立人は,異議を申し立てた法規は,ロシア連邦憲法及びその15条(4部),17条(1部),21条,22条,46条(1部及び2部)54条(2部)に反し、違憲であると主張した。

 裁判所の見解

 ロシア連邦憲法は,全ての者に対して,自由と身体の安全を保障しており,自由をはく奪こととなる全ての法的制限は,合法性の基準に合致しなければならない。ロシア連邦憲法裁判所は,すでに,自由及び身体の安全に関する権利について,不確定な期限にわたる制限をすることは,憲法的保障と反することを指摘してきた。ヨーロッパ人権裁判所もまた,自由の剥奪は,当局による恣意的な行為から個人を保護する憲法慣習に合致しなければならず,拡張解釈の余地のない合法性に立脚しなければならないことを強調している。国外追放されている外国人及び無国籍者の法的規制についてみると,ECtHRは,身柄拘束の期間は,法の目的の実現のため,合理的に必要な期間を超えてはならないことを強調している。ロシア連邦行政違反法典は,裁判官に対し,国外追放されるべき外国人または無国籍者を拘束し続ける期間の上限を定めることを要求していない。さらには,法は,国外追放手続について,重大な疑義が生じた場合のこうした身柄拘束について,司法による合法性及び妥当性の見直しについて,定めていない。ロシア連邦行政違反法典によると,行政による国外追放の発令についての検討中に,明確に,裁判所に対して,特別施設における国外追放手続中の身柄拘束について,具体的な身柄拘束期間を定めるよう義務付ける。これは,雄弁に,退去されるべき個人は,国外追放(再入国)手続にある個人と対比して,彼らの特別施設における孤立という不明確な状況に置かれ,裁判所による効果的な保護への権利を有していないことを示している。以上より,異議を申し立てられた条項は,ロシア連邦憲法に適合しない。

 連邦の立法府は,退去させられかつ特別拘置施設に勾留されるべき無国籍者の拘束期間について,合理的な司法による審査の道が開かれロシア連邦行政違反法を修正しなければならない。

 立法府は,ロシア連邦行政違反法の中に,裁判官に対し,無国籍者の退去に関する行政命令執行期間の満了前に,彼を管理し得る,特別施設からの釈放後の無国籍者に関する特別の法的地位を設けることのほか,(有効な移民法制の類推により)こうした暫定的な措置の適用について具体的な期間を設定することを義務づける立法をなしうる。この憲法裁判所の判決が要求する立法による修正が導入される前に,特別施設に拘置されている個人に対して,彼らを退去させる現実的な可能性を欠く場合については,そうした人を退去させる裁判所の決定が出てから少なくとも3か月が満了した後は,裁判所において,その後の拘束についての合法性について異議を申し立てる権利を保障することが必要である。

 申立人の案件における,法の実現を求める決定は再検討されるべきである。

以上