ポルト空港から、メトロE線に乗り込む。ポルトで予約したホステルには、E線のボリャオン駅から歩くのがよさそうだった。
ホームと線路の高低差が低い。
ボリャオン駅を降りると土砂降りだった。サンタ・カタリーナ通りをひたすら北上すればホステルがあるはずだが、すっかり日も暮れている上に、文字通り初めて訪れた場所で土地勘は皆無。ホステルの右をかすめて400メートルほど北上したあとに、どうもホステルを通り過ぎたことに気付いて引き返す。
そう、このタイミングからうすうす気づき始めたことが一つある。ポルトの町は非常に傾斜がきついのである。等高線のような道は除いて、平らな道というのがあまりない。20キロオーバーのキャスターを引きずった状態で道に迷うと、非常に体力が削られる。
無事ホステルに到着すると、日本人がイメージする黒髪ロングのギリシア人女性といった風貌の方に部屋に案内される。
「今夜この部屋に泊まるのはあなただけです。幸運ですね。」というようなことを英語で言われた。
非常に清潔感のある部屋とベッドに安どする。これから6日間にわたって、安心して眠れそうだ。
まあ、窓は若干外れているようだが、ベッドの下に鍵付きの収納もあるし、何とかなるだろう。
時刻は現地時間午後9時を過ぎていたが、とりあえずポルトガル料理を求めて、ポルトの町に、ビニール製の雨がっぱを着込んで繰り出す。
たどり着いたのがこちらの面々。
手前右はカルド・ヴェルデ。ガイドブックの説明によると、ポテトスープに千切りのキャベツを煮込んだものだそう。ポテトスープは、いわゆる「お優しいお味」で長距離の移動に披露した身にはとてもやさしい。このキャベツの千切りは干してあるのか、それとももともと固い葉物だからなのか、うっすい切り干し大根とでもいうような歯応えに、干し野菜的な旨味をうっすらと感じる。
左はエスカロペス・ポルコ。まあ、豚薄切り肉のカツレツといったもの。塩が効いていて、また非常にさっぱりしていて美味。
添えてある米は、塩味のスープで炊いたもの。右上のパンも、小麦の風味豊かでとてもおいしかった。
と、ここまで長々と書いたが、最も鮮烈だったのは、右端の白ワイン。
60セントと安価ながら、さっぱりとした酸味で非常に飲みやすい。果実の新鮮さが全面に出ていて、非常に上質なビタミンを補給できた気がする。
ワインが旨い土地と聴いていたが、こういう現地の方々が普通に飲むものがこれだけおいしいというのがいい。この一杯だけでも今回の旅程に満足できる。
そして会計時にまた驚いた。4.75ユーロ。安い。
パリでワインと一通りの注文をすると日本円で1500~2000円は軽くするイメージなのに、ここでは600円前後とは…
ポルト侮りがたし。