英語、フランス語、スペイン語を会議公用語とするUIA(国際弁護士連盟)ポルト大会に参加するにあたり、アテネフランセのプライベートレッスンを受講することにした。
さすがのアテネフランセ、弁護士であり、国際弁護士連盟の大会に参加するためにプライベートレッスンを受けたい旨申告すると、何とフランスの法学博士号を持つ講師を指定してくれた。
彼のことは、心の中ではベッソン師と呼んでいる。日本の公法学を研究対象にしているため、日本の著名な憲法判例については私よりよほど詳しい。
ある日のプライベートレッスン終了後、ベッソン師は、
「デルフは持っている?」といった。
「デルフですか。私先月まで函館にいたので、受けられなかったんですよ」
「札幌でも受けられたと思うけど、遠い?」
「電車で5時間弱ですね」
「それは無理だね(笑)」
「あれやっぱりとっておいたほうがいいですよね。一応フランス語で法律サービスを提供したいと考えてますので」
「とりあえず、ベドゥ受けてみたら?」
「ベドゥ?あ、B2ですか?いけますかね?」
「多分B2は大丈夫だと思う。セアンはあれは難しすぎるから無理にとらなくていいと思うけど」
「わかりました。では、ポルトガルから帰ってきたら、またプライベートレッスン申込ますので、その際はよろしくお願いします」
その言葉どおり、帰国後ベッソン師から指定されたテキストにそって、1,2回程度、質疑応答対策のようなことをしてみた。
しかし、この音声教材が全く聴き取れない。潜水艦における男女平等がどうの、という話をしているようだが、電話越しのかつラジオ音源からとってきたものであるせいか、フランス人のおじいちゃんが何言っているかまったくわからん。
ベッソン師の指導は素晴らしかったが、プライベートレッスンを受ける前に、自分のほうでしておくべき対策がずいぶんとあることがよく分かった。
このテキストの音声教材について、巻末に書き起こしがあることに気付いた。
そこで、書き起こしを見つつ、音声教材を聴く。その結果、聴き取れなかった部分について、①そもそも知らない単語だった、②文字上は理解できたが、思っていたのとネイティブの発音が違った、の2パターンあることが分かった。
そこで、①については使い込んだ仏和辞典にピンクのマーカーを入れた。繰り返し音声教材を聴き、瞬時に意味のとれないものは仏和辞典を見返すということを繰り返した。
②については、ネイティブの発言をまねることを繰り返した。
以上で、以前よりはリスニング(compréhension orale)に対応できるようにはなった。ただし、仏和辞典を繰り返し、即参照することは別の問題を生じさせた。