• Avocat Japonais à Tokyo

 このサイトをご覧になった方から、選択的夫婦別姓制度について意見を求められた。こんなサイトわざわざ閲覧する方いるのかよ?、というのが運営者の偽らざる本音だったが、DELF取得からの検討という独特の切り口は、広く公にしてみるのも面白いかと思った。

 ご参考までに、上記サイト訪問者の方へ回答した内容は、以下引用のとおりです。よろしければご覧ください。

以下引用

私は、フランス政府公認のフランス語学能力証明書DELFのB2という資格の取得者です。
この資格は、欧州言語共通枠組みに基づくもので、一度取得すると生涯有効であり、免状にはフルネームが記載されます。当該資格は、国際的に通用する唯一のフランス語学証明となります。
仮に、こうした生涯有効な語学資格を生来の苗字に基づいて取得した者同士のカップルが法的婚姻を検討する場合、カップルの一方が苗字を変更し、国際的に有効な身分証であるパスポートも変更後の苗字となります。
そうした状況で、上記DELF、DALFを就業又は学業のために海外の機関に提出するとなると、上記免状の発行団体であるフランスのCIEPへ免状の再発行を求めるか、あるいは提出先の海外の団体宛に苗字が変更されたことの英文又は仏文の証明書を提出することが求められる可能性が高いです。これは煩雑極まりない手続です。
仮に、こうした今後多くの若い世代が直面する場面で、煩雑さをさけるために、民法所定の婚姻をせず、事実婚姻を選択したカップルと、民法所定の婚姻を選択したカップルとの間で、①扶養義務(民法730条)、②不貞行為からの保護(民法770条1項1号)、③相続人となることができること(民法890条)、といった民法所定の婚姻に自動的に伴う法的保護が受けられないという点に、著しい差別的取扱いが生じてしまうと考えます。
これからの若い世代が、フランス政府発行の語学証明等を積み重ね、海外で活躍するということは、よりありふれたことになると予想されます。そうした若い世代にとって、カップルの片方に不可避的に苗字の変更を伴う現在の婚姻制度は、端的にいって不便です。
私は、民法750条そのものが、男女差別を惹起する条文であるとは考えていません。
しかし、民法750条は、民法所定の婚姻に伴う法的保護を受けたいカップル、なおかつ今後国際的な語学証明又は学力の証明を受けて、海外で活躍することを望むカップルにとって、不便な制度だと考えます。そして、不便さのゆえに、事実婚を選択するカップルについて、民法所定の婚姻に自動的にともなう法的保護を受けさせない点、民法所定の婚姻を選択したカップルとの間に、合理的理由のない差別的取扱いを招来するものとして、憲法14条に違反するものと思料します。

引用終了


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