• Avocat Japonais à Tokyo

萩原あさ美さんの漫画『娘の友達(講談社の紹介サイトはこちらhttps://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000328604)』が、家庭裁判所の事件を取り扱うものとしては、「ささる」。

ストーリーの本筋は、市川晃介という中年男性(妻とは死別しているため独身)が、娘の同級生である如月古都(作中の描写を見る限り高校1年生)からアプローチをかけられ、いろいろな意味で破綻していく(ものすごく雑に説明するとこうなる。)、というもの(そんなことありえないよ、で本記事を読むのをやめないでください(^^;))。

この作品については、未成年に対する性的搾取だ、といったような指摘をする方もいるかとは思いますが、私にささるのはそこではなく、この如月古都の母親。

いやー毒親ですよ。本当に。

同作第3巻78ページから80ページにこんな描写があります。

母親:明日久しぶりにお父さんが帰ってくるのよ

古都:そう…なんだ

母親:もちろんあなたはお父さんと一言も話さないわよね?(中略)そうよねあんな人と話したら駄目よあんなのほんとろくでもない男なんだから

これは一番やったらあかんやつですっていう場面の描写が生々しい。

同作4巻29ページの描写を見る限り、古都の両親は離婚はしていないようですが、いわゆる別居に近い状態のようです。

これ、家庭裁判所の離婚問題、親権問題に直面している方の中にはザワザワしてしまう人も多いんではないでしょうか?

夫婦仲が悪化すると、時として、子どもに対して、相手のマイナスイメージを吹き込もうとする親御さんがいます。

これ子どもからしたら、とても迷惑だろうなーと思うんですよ。子どもからしたら、両親がもめてるとか迷惑以外の何者でもないですから。また、両親はお互い憎み合ってるかもしれないけれど、子どもから見ればお父さんもお母さんも大好きってことはよくあるんですね。

なので、この古都の母親の言動がまず刺さります。こういうことをしてしまう親御さんって、相手憎しの感情にとらわれている、または相手の方に子どもの気持ちが移っていってしまったらどうしよう、という不安から、面会交流についても不必要な抵抗をすることがまま見られます。まあ、私はそういった親御さんには徹底した攻勢をしかけるわけですけれども(これまでの審判例引きつつ審判を求め、最後は間接強制も辞さずっていうところまで私は通常やります。)、普段手間をかけさせられている分、「おるよな、こういう親」、と若干私怨をいだきつつ読んでます。

またこの古都の母親の挙動が、非行に走った少年の事件記録に出てくるひどい親の挙動の特徴にすごく合致しているんですよ。

この古都の母親は、古都に携帯電話持たせているのですが、母親からの電話に即レスしなかったら即ビンタの上、土下座させる。で、土下座までさせたら一挙に豹変して穏やかに接する。この子どもを管理したがる、思い通りに行動させるためなら暴力も辞さず、みたいなところが、非行少年の裁判記録に現れる親達を彷彿とさせます。

こういった絵の漫画苦手なんだよね、という方もいらっしゃるかもしれませんが、離婚問題に直面している、又は家庭裁判所の調停委員として関与しているという方は是非ご購読されることをお勧めします。

あ、あと作品の本筋についてですが、刑事弁護人として読むと、「晃介君それはあかんやろ」、と、晃介と古都の登場シーンでは内心突っ込んでいます。いくら相手からアプローチされたとしても、いろいろな意味で未成熟な異性と一線を踏み越えてはいけません。それは相手の未成熟さにつけ込んだ卑怯な行為といわれても仕方がないからです。ダメ、絶対です。


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