• Avocat Japonais à Tokyo

先日、某国出身者が被告人となった刑事裁判で弁護人を務めた。

国籍国のご家族が非常に本人の状況についてご心配されていたので、逐一裁判の状況を報告していたが、この際使用した言語は結局英語。

資格上は、フランス語がC1レベル、英語がB2レベル(IELTS6.5)なので、運用能力はフランス語のほうが高い、という取扱いになるが、メールでのやり取り、会話についてはやはり英語のほうが気楽、肩の力を抜いて対応できる状況…

英語ではカバーできず、フランス語話者だからこそ処理できる事件にはどのようなものがあるだろうか?

一つ思い浮かぶのは、国際カップルの片方が日本に子連れで来てしまっているハーグ条約案件。フランス語圏にいるフランス語話者の代理人として、日本の裁判所における手続に関与する、というもの。ただ、これを取り扱うためには、フランス語話者が私の存在に気付けるようインターネット上の情報発信をすることが前提として必要になりそうだ。

もう一つは、日本にいるフランス語圏難民案件。これは難民支援団体へ登録すれば、難民の方は私にアクセスできるだろう。

と、いうわけで、難民支援団体に専門家として登録してもらい、難民支援のための研修をZOOMにて受講した。

私自身はこの10年、何の変哲もないいわゆる町弁的業務に従事しているが、難民案件に関与しようとすると、一瞬にしてアフリカ、アジア等の国際情勢が直接案件処理に影響してくる。

国連難民高等弁務官事務所が各国の情勢について報告書を開示しているが、それらは英語又はフランス語でインターネットを通じて閲覧できる。

相談者又は依頼者がフランス語話者である場合は、やはりあらかじめそれらの報告書もフランス語版で読んでおくのがいい。基本的な情報について、フランス語でどのように表現すればいいのかわかるからである。

ところで、司法試験に合格するまでは、行政法で勉強する取消訴訟だとか国家賠償訴訟を実際に担当することはまずないだろうと思っていた。しかし、①フランス語を身に着ける→②外国人の権利委員会に所属する→③外国人法律相談を担当する→④退去強制令書発付処分取消訴訟、国家賠償請求訴訟を担当する→⑤難民認定申請支援を担当する(ベースの法律は入管法、行政不服審査法、行政事件訴訟法なので、ゴリゴリの行政法分野)、ということで、まさかフランス語から行政法分野につながるとは思っていなかった。

もとから国際関係論的な話題は面白いと思っているし、テレグラフやルモンドでまず読むのは国際情勢なので、難民案件はとても興味深いと思っている。


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