• Avocat Japonais à Tokyo

 トリンダーデ駅からメトロD線にのり、サンベント駅にて下車する。

 地図を見ることも苦手なうえ、方向感覚もないため、どの通りを下ればいいのか皆目見当がつかない。そう、下る、と書いたが、宿のある高地からひたすら低地に下った先に大会会場はあるらしい。ただ、下る方向を誤ると、まったく見当違いの場所に行ってしまうのが恐ろしい。

 昔ながらの街並みは素晴らしい…が、迷路の壁にしか見えない。

 ボルサ宮の前に差し掛かったため、概ね正しい方向へ下ってきたらしい。

 ドウロ川沿いの街並みはとてもキュート。

 何とか時間通りに会場入りする。

 まずはネットワーキングランチから。

 盛り付けのセンスが感じられないものの、ワインの名産地の底力はここでも遺憾なく発揮された。

 ネットワーキングランチというだけあって、世界各国から人脈づくりをしようという弁護士が集まっていた。

 2018年9月30日まで、函館で弁護士業に従事していたというバックグラウンドからして、世界各国の弁護士とつながる必要、実益はあるの?という疑問を抱く方もおられるだろう。かくいう私自身も、当初は物見遊山の延長というところが大きかった。

 しかし、実際のところ、ごく普通の離婚とか相続案件のつもりで依頼を受けた案件で、関係者が外国にいる、遺産が外国に所在する、などということが実際私の身にも起こってしまった。国境を越えた子供の連れ去りに対応するために、連れ去り先の国の弁護士に意見を請わないといけない場面も大いにありうる。

 いや実際某国の弁護士との協議を現在進行形で行っていたりする。

 どこの国とのつながりが出てくるか予測がつかないのだ。

 この初日のネットワーキングランチだけでも、カジノに関する法律実務が専門というマカオの弁護士、橋の建設等公共工事にかかる保険法実務を専門とするチュニジアの弁護士、ブルガリアの弁護士連合会長等々と英語フランス語を交えて会話することができた。

 その中で、結局のところ自分がこれまで何をしてきたのか、ということを英語又はフランス語で説明することになった。いわく、50人ばかりしかいない弁護士会で開業してきたため、あらゆる分野の案件を扱う必要があったこと、刑事事件を50件程度扱ったこと(この数字には非常に驚かれることが多かった。あーではあなたはavocat pénalisteですね、といわれて若干照れる。いやそんなたいそうな者では…と謙遜するのが英語でもフランス語でも難しい。)、パリ弁護士会の研修に参加したことなどで会話を何とか成立させた。

 多少ともフランス語を話せるカナダの弁護士さんなりアメリカの弁護士さんなりを発見すると、会話の土台をフランス語に持ち込み、お互い非母国語での土俵に持ち込んだ。こうすると、若干こちらがたどたどしくとも、引け目を感じないで済む気がした。

 まあ、この作成を実行したところ、相手の米国人弁護士の老婦人が、在米フランス大使館の顧問だったりして、どちらにしても引け目を感じてしまう、という場面はあったが。

 ところで、マカオのカジノ法を専門とする弁護士さんのお話をうかがって思ったのが、カジノにまつわるお金の流れをつかむためには相当高度な国際課税等の知見が必要そうだということだ。日本でもIR法案ということでカジノを作るということだが、結局のところ、膨大な金が依存症的に費消されたところで、その大半は外国勢に吸い上げられそうな予感がしたので、少し付言しておこう。

 ネットワーキングランチのあとは、フレンチスピーカーの集い、というセッションに参加した。UIA大会の特色は、英語、フランス語、スペイン語が会議公用語であるという点だ。すべての講演、シンポジウムはいずれの言語でも参加できるよう同時通訳が完備されている。

 そうした大会なので、フランス語話者のみを集めた会合というのもあった。

 内容的には、今グローバリゼーションの影響で、英語の影響力が日に日に増大しているが、言語の単一化は望ましくないとか、大まかに言ってそのような文脈での講演があったあと、参加者が、フランス語を活用することによって、普段どのような活動をしているのか発言があった。

 少し面白かったのは、「フランス語もしっかりとその影響力を保持しなければならない。言語は思考枠組みそのものであって、言語があまりに単一化されると思考枠組みも単一化される。多様性が重要だ。」というような発言のあとで、「いや、フランス語はむしろ多様性を奪う側ではないのか?フランス語が公用語とされたアフリカ諸国では消滅の危機に瀕する現地語が後を絶たないぞ。」というような忌憚のない発言がされていたのには、吹き出してしまった。

 こういう忌憚のなさもフランス語話者の魅力なのかもしれない。パリ弁護士会の研修中も感じたことがだが、アフリカ系フランス語話者の発話のリズム感は見事だ。自分が影響されやすいのもあって、アフリカ系フランス語話者との会話が続くと自分もそれっぽい発話になってしまう。

 発言者の中の1人で、私と同じく東アジア系の顔つきをした人がいた。その独特の音楽的な響きからして、たぶんの中国系の方だろうなと思った。四声の影響からか、同じフランス語でもどこか音楽的なのだ。パリ弁護士会の研修中にあった中華系レストランの店主のフランス語を思い出しながら、その発言者の話を聞いていた。

 集い終了後、その弁護士に話しかけてみた。名をニコラさんといい、上海で開業しているという。アフリカ諸国とのビジネス法務が専門ということだった。

 私は詳しいことはわからないが、それはすごく冒険的ですね、と話を振ると、「ええ、本当に冒険ですよ。執行の場面とかもう予測がつかなくてね。刺激的だから飽きないけれども。」

 そして、最終的には、同じ東アジア系の顔つきをしているので、フランス語話すと驚かれる、喜ばれる、というところはやはり「あるある」なんだなと確認しあった。


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