フランスにおける公正証書遺言・遺言執行者 メモ
※条文はいずれもフランス民法典
① 公正証書遺言は,2人の公証人又は2人の証人に補佐された1人の公証人によって受理される(971条)
② 遺言者(testateur)の口述を公証人が筆記する。公証人の1人が,みずから筆記するか,機械的方法にて文書化する(972条)
③ 公証人は,筆記の内容を,遺言者に対して読み上げる。
④ 遺言者が,フランス語により意思表明できない場合は,破棄院又は控訴院が作成した司法専門家リスト掲載の通訳人によって補佐される。
⑤ 遺言者は,公証人及び証人の面前でサインし(973条),公証人及び証人も当該遺言書に署名しなければならない(974条)。
⑥ 受遺者(légataire)及び受遺者の4親等内の親族又は姻族,公証人の補助者は,証人になることができない(975条)。
ここから遺言執行者の条文
① 遺言者は,その意思を執行するための完全な民事上の権能を享受する1名又は複数名の遺言執行者(exécuteur testamentaires)を指名することができる(1025条)。
② 遺言執行者は,その任務を受諾したときは,その任務を全うすべき義務を負う(1025条)。
③ 遺言執行者の権能は,その死亡によっては承継されない(1025条)。
④ 遺言執行者は,重大な事由があるときは,裁判所によって解任されうる(1026条)。
⑤ 遺言執行者は,遺言又は遺贈物にかかる有効性又は執行についての訴訟に引き込まれる(1028条)。上記の場合,遺言執行者は,遺言の有効性を維持し,息を申し立てられた条項の執行を要求するために介入する。
⑥ 保全措置(1029条)
⑦ 遺言者は,遺言執行者に対し,処分可能分(quotité disponible)の限度で特定の遺贈物を支払うために必要である場合は,相続財産に属する動産類を占有し,売却する権能を授権することができる(1030条)。
⑧ 遺言執行者の任務は,裁判官による延長がない限り,2年以内に終了するものとする(1032条)。
⑨ 遺言執行者は,その任務終了から6か月以内に報告をする(1033条)。遺言執行が,遺言執行者の死亡によって終了したときは,報告義務は,その相続人に課される。この場合,相続人は,無償委任の限度で責任を負う。